危険中毒
「旦那も、いきな。」

当然の様に、命令がくだった。

軍が準備した、
宿泊機関でありながら、
中は完全に、奴らの
テリトリーと化していた。

ちょっと、
自由を与えすぎたか?

キムのいる部屋に入る。


「俺を呼んだのは、
あんたか?」

目の前の、
キム=ダンクロードに
問うた。


奴は、この集団の中で、
最も人望を集めていた。

頭目は、別の人物で、
違う部隊にいる、ソイツよりも
信頼されているときいていた。

よって、取扱いには、
当然、注意が必要となる。

場合によっちゃ、
大反乱を招く事になる。


それを期待して、
経験の浅いはずの、俺を
配置したんだろうが。

・・・その手にのるかよ。

何度となく思った言葉を
噛み締めた。

「ああ。
・・・こいつを
看てやってくれ。」

キムは、すぐ横に転がる、
毛布に包まれた何かを指した。

・・・何だ・・・?

「中を見せてくれ。」

俺の言葉に、さっきの少年兵が
数歩歩み寄った。

が、

「ならねえ。お前は触るな。
俺が解く。」

キムが、そういって、
毛布を広げた。


 

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