危険中毒
「とにかくだ。

何にしろ、
こうなっちまったんじゃ、
もう、俺の手におえねえ。
お前に頼むしかない。」

「ああ。状態を見せてくれ。」

俺は、キムのほうへ近づいた。

細い少年。

サンドバック状に、
いたるところに
打撲痕があった。

可哀相に・・・。

骨は、折れてなさそうだが。

「一体、何時間
やられたんだ・・。」

思わず呟いた。

「さあな。

コイツは、尋問に呼ばれ
ここを出たが、三時間たっても
帰って来なかった。
気になって見に行きゃあ、
このザマだあ。」

キムは言って、
ため息をついた。

ぶっ殺してやる・・。

思った俺の思考を、
奴の言葉がさいた。

「だがな。まだ、
この程度で済んで、
良かったのさ。

犯されでもしたかと思って、
気が気じゃなかった。」

奴の話を聞きながら、
対応を決める。

「・・・体温が下がってる。」

医療センターに
送致したほうがいい。

「彼を、あずかってもいいか?
ここじゃあ、満足な治療も
できない。病院へ搬送する。」

上着を脱ぎながら伝える。

「ああ。そうしてくれや。
あとな、旦那。」

奴は、いった。



 
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