危険中毒
 
もはや、


言葉も、でなかった。


「最低なら、約15歳って
ところかな。」

「ああ。
こんな、赤ん坊みてえな頃から
男だって偽ってな。
コイツは俺の息子だって
いって・・・

シャワーから何から、
面倒みてたんだがな。」
バレちまったな・・・

そう、キムは言って、
残念そうに、フッと笑った。


「姓は?」

「んなもん、ある訳ねーだろ。
自分の名前も満足に言えねえ
幼児だったんだ。
モニカって名前も、
俺が咄嗟につけたんだ。」

何とか、子供二人を保護すべく
考えを巡らしたらしい。

相当な、情の厚さだ。


この時には、俺は、既に、
キムに対して好感を
抱いていた。

大体、俺が国防にいる事だって
目的は、傭兵達と変わらない。

たまたま、この国に生まれ、
一定条件の生活環境が
確保された中で育って・・・
知った職業が、国防や軍人
だっただけだ。

俺、個人としては、
奴らに対してだって、
特別な負の感情はない。

単に、俺自身、規律や法律、
己の任務を、遂行している迄の
話だ。


 

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