危険中毒
 

「キム・・・

二十分後に、そこの有刺鉄線の
通電を停める。
その間、国防側の兵を、
召集して、会議をする。

その間に、捕虜全員、
ここから脱出しろ。

但し、東の山側には
地雷が埋めてある。
反対側に逃げろ。

自動復旧装置が働くのは、
機能停止後から計測した
十分後だ。
カウントを間違うな。」

キムに、そう告げた。

一秒でも早く、
実行にうつさねばならない。

こうしてる間にも、気付かれて
動きがあるかもしれないから。


「そうと決まれば、マックス、
ベースまで、乗せてくわ。」

ミオが言った。

「ああ。頼む。」

自分の時計に、
携帯電話の表示時間を
合わせた。

時計を、キムに渡す。

「次の、00秒から、
カウントを始めよう。」

「ああ。

ねえちゃん、ちょっといいか?」

扉へ歩み始めたミオを、
奴は呼びつける。

「何?時間がないから、
手短に頼むわ。」

キムに近づきながら、
彼女は言って、
一言、二言、二人は、
俺の知らない言語をかわして、
再び距離をとった。


秒針が、作戦開始の時間を指し
俺達は走り出した。


 
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