危険中毒
 


翌日

俺は、軍本部から
呼出しをくらった。

当然、昨夜の、
捕虜脱走の件だ。


かれこれ数時間、
敬礼したまま、
小言を聞かされている。


いい加減、
寝そうになりながらも、欠伸を噛み殺し、
堪えている。


しかし、この程度で
すんでいるのは、
キム=ダンクロードや、
数名の幹部や少年兵が、
あのキャンプに、
残ってくれたからだ。

捕虜暴行事件と、
うまくリンクさせて
報告した事も、効いている。

残った奴らは、数名は
釈放となる見通しだ。
少年兵を含む、残りは、
このまま国防に所属となる。

キムは、国外追放か・・・

このまま、
監視できる部署へ
雇うか・・・

こちらにとっても、
貴重な人材だが、
奴は、自分で選択して
生きていくのだろう。


ぬけるような鮮明な『青』が、
上官の背後の窓から、
見えていた。



あの、青空は・・・



どこに行ったんだろう。




今や、あの太陽も、青空も、
元から無かったモノのように、
姿を消してしまって・・・



あの日の残像として、

残っているばかりだ。







 
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