危険中毒
ヤバイのが、いる・・・
慌てて立ち上がり、
ドアを押し開け、
中へすべりこんだ。
「ああ、おまえか。
なに堅い表情してるんだ?
早く入れよ。」
最後の扉番をしていた
側近の男が、入室を促した。
「え・・・ええ。」
言って、足を進めた。
気付いてないのか?
この殺気に。
私の入室を確認し、
彼は扉を閉めた。
アイツ・・・
どこにいるの・・・?
「随分遅かったねえ。
リディア。」
背後から抱きとられ、
耳元で囁かれる。
喋る度、耳に
息と舌が触れる。
「舐めるな。気色悪い。」
腕の中でもがき、なるだけ、
顔を奴から離そうとしたが、
あっさり顎を掴まれる。
「品の無いモノ言いだ。
まるでムーンのようだ。」
そういって、頬の傷を
指でたどる。
「美しい・・。やはりな。
お前には、このくらいの傷が
似合うと、思っていた。
実に美しい。
お前は、私の彫刻作品だよ。
リディア。」
サタンは、芸術品を
愛でるように私に触れる。
サタン・・・
単なるサディストではない。
コイツは、何かが狂っている。