危険中毒
 


彼の名は・・・


「ゴウ。」


ポツリと、その名が
こぼ零れて
彼が、笑んだ。

さっきと違って、
穏やかに・・・。


記憶にある、彼とは、
あまりにも違っているけど、
彼は、ゴウだ。

でも、どこであったかも
わからない。


それは、
言うべきじゃないと思い
言葉をのむ。

「ゴウ。」

無意識に、腕を伸ばし
その首に、腕を
巻き付けようとする。

「ダメだよ。モニカ。
俺に近づいちゃいけない。」

「どうして?」

何で、こんなに
悲しいんだろう・・?


私は・・そもそも
リディアなのに。


心臓が
握り潰されるように、
苦しい。

「俺はね、正気と狂気を
繰り返してるんだ。

その間隔が狭まってる。

俺が、正気の時間は、
もうわずかだ。

終われば、

おまえを、
傷つけてしまうから・・・。」


接触を拒みはしたが、
彼は、爪の当たる事が
ないようにか?
手の甲を私の頬にあてた。

「とうとう、キズが、
ついたんだな。

マックスが、随分、
気を揉んでたのにな。

お前も俺も、根っからの
戦争屋なんだな。」

ーーーーマックスーーー


始めてじゃない

・・・名前だと思う。


 
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