危険中毒
 

催眠を導入するために使った、
キーワード。


『モニカ、愛してる』


・・・その・・言葉を。


「暗示、解けたわよ。
この先は、自らの意志で闘う。」

そういって、腕を緩めた。


彼女は、
破れたドレスを脱ぎ去り、
その成熟した身体を
あらわにする。


「ムーン、行くんでしょ?」

彼女が行動を促す。

「ああ。だが、お前、
使い分けられるのか?」

そんな、器用なタイプだと
思わなかったが。

「ええ、大丈夫。
これまでの設定は、
理解しているし。

私だって、

あの後、

それなりに
人生を過ごしたって
事よ。」


除隊後の事か・・・。


「行こう。」

ここに、長居は無用だ。

モニカが覚醒したなら、
尚更だ。


ズブ濡れになったジャケットを
脱ぎながら、クローゼットに
向かった。


手際よく服を選び、
着ていた服を廃棄していく
モニカを見て、一抹の不安が
過ぎる。


呆れるほど手慣れていて

どうみても・・・

コイツは、
素人に見えない。


作戦を練り直した方が
良さそうだ。


 

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