麗しのワイルド ビースト
座らせた林檎にケーキを持ってってやっても食わないらしい。



むしろ食えないらしい…。



「うまく媚び売ったようだな」

「ただ彼女を紹介しただけですよ」

「どんな手を使った?」

「だから紹介しただけですって」

「やり方が汚いんだよ虎之助は」



マジムカつく。



実力も頭もねぇくせに…。



前に誘拐された時に俺が新太郎の身代わりにならなきゃ死んでたかもしれないのに。



恩をあだで返すバカヤローが。



「大学生活はどうです?」

「お前には関係ない。どうせその女連れて来たのだって俺が婚約したからだろ」

「はははっ!!だったらなんです?」

「跡を継ぐのは俺だ。お前なんかに絶対負けない!!」



ぶっ飛ばしてやろうかな…。



やり方が汚いのは新太郎だろーが。



「虎之助君、先日はどうも」

「あっ!!鈴木さん!!こちらこそありがとうございました!!おかげで父も喜んでましたよ」

「それはなによりだよ。で、そろそろ行かないかな?釣り」

「行きます!!」



俺は新太郎とは違うんだ。



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