麗しのワイルド ビースト
言葉に出来ない…。



別れたくない…。



でも虎君が虎君じゃない…。



「好きなのに…なんでこんな気持ちになるの!?別れるなんてイヤだもん!!でも苦しいよ…。前の虎君に戻ってよ!!」

「…………」

「なんとか言いなよ!!ひどいこと言ってるんだよ!?あたしのこと攻めて怒ればいいじゃん!!」

「出来ないよ。僕が悪いから。林檎がそう思ったって間違ってるとは思ってないから」



ムカつく…。



前の虎君にならなんて言われたんだろう…。



もう…それすらわからない…。



「林檎」

「…………」

「大好き」



そう言った虎君はあたしにキスをした。



久しぶりに虎君の意志でされたキス…。



切なくて…苦くて…。



涙味。



やっぱりあたしは虎君が好き…。



全部が好きだったくせに…。



なにを見失ってたんだろう…。



あたしに背を向けて歩き出した虎君の後ろ姿をずっと見てた…。



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