麗しのワイルド ビースト
そして修学旅行当日。



虎君は相変わらずニコニコしてた。



もうあたしのこと好きじゃないのかな…。



口を聞かないまま約1ヵ月…。



隣の席で、毎日顔を合わせてるのに一言も交わしてない…。



もう限界…。



「今日は楽しもうね」

「えっ?」

「どうしても話したくて…。いやだったら黙ってる!!」

「い、イヤじゃない…です…」

「よかったぁ~…。ちょっと勇気出してよかった…」



純粋で汚れのない笑顔があたしの心をまた苦しめる…。



虎君に対して悪いことしてるんだ…。



ごめんね…。



「俺環の隣~」

「じゃあ仕方ねぇからモモの隣でいいや」



えっ!?



バスは男女で座るの!?



あたしはてっきりモモと座るんだと…。



「うわぁ~…。僕でごめん…」

「き、気にしてない!!」

「本当ごめんね…」

「ううん、座ろっか」

「うん」



今日は今の虎君と向き合ってみよう。



やっとそう思えた。



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