麗しのワイルド ビースト
充電が完了したらしゃべるヒマなく寝た林檎に布団をかけてやった。



水が飲みたくて部屋を出ると、隣の部屋の前でうずくまってるのぞみがいる…。



「なにしてんの?」

「虎之助さんには幻滅しました…」

「聞こえちゃった?」

「はい…」

「悪いな。でも我慢すんのムリ。好きな女が同じ家にいんなら普通に抱くだろ」

「あたしには欲情しない?」

「しない」

「…………」



のぞみはのぞみで林檎じゃねぇし。



俺はあの小さい体の林檎が好きだ。



いくらタイプでもやっぱり林檎には敵わない。



見せ付けてるみたいで悪いけど、早く諦めてもらいたいから。



なにも話さないで俯いたのぞみをそのままにして水を飲んだ。



のぞみの入る隙間はどこにもないってこと。



「なんか家寒くね?」

「だから言ったじゃん、最近寒いって。空調おかしいから治さなきゃ…」



もう完璧に冬が来た。



それじゃ、俺は林檎を抱きしめて寝ますか。



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