麗しのワイルド ビースト
祖父さんとは年に数回会うだけで、たまに出向いても会えないことすらあった。



一緒にどこかに出掛けた記憶もないし、ガキの頃からすっげぇ怖かった。



俺が誘拐された時も祖父さんは会いに来なかったし、何も言ってこなかった。



でも1回だけ、祖父さんがアメリカに来た時に笑ってる顔を見たことがある。



母ちゃんが祖父さんに文句を言いまくって、言い疲れて部屋に戻った時。



それを不安げに見てた俺に向けて『娘ってわからない生き物だ。はははっ』と。



それ以来、こんな顔を見るのは初めて…。



「あたし得意ですよ!!オセロなら!!」

「じゃあ手合わせ願いたい」

「やりましょう!!」



なんで仲良くオセロだよ!!



俺だってそんな近付いたことねぇのに!!



林檎がすごいのか、祖父さんが引退しておかしくなったのか…。



新太郎に相談してみようかな…。



先が心配だ…。



「あの、お祖父様…」

「虎之助は黙っとれ!!今いい勝負なんだから!!」



これは認めてくれてんのか?



それだけ聞きてぇよ…。



< 383 / 518 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop