麗しのワイルド ビースト
その日、虎君はソファーで眠った。



モモが気になるあたしは部屋の床に布団を敷いて寝た。



目が覚めたらベッドから起き上がったモモがボーッとしてて…。



「翠は?」

「あっ、昨日帰ったよ?」

「そっか…」



なんて言えばいいんだろう…。



辛そうで苦しそうで…。



モモも悩んでるみたい…。



「ねぇ、モモ?」

「ん?」

「…………楽しみだね、赤ちゃん」



言葉が見つからなくて、口から勝手に出た。



久しぶりに見たモモの笑顔にホッとした。



頷いたモモの気持ちは固まってる。



産みたいんだね…。



「あたしにも抱っこさせてね?」

「翠より先に抱っこさせてあげる!!林檎…大好き!!」



なんにも言わなくてもそばにいてあげればいいんだ…。



初めてそれに気づいた。



あたしが余計なことを言うべきじゃない。



ふたりにしてあげられることは見守ること。



学校はどうするとか、ちゃんと結婚できるのかとか。



それはモモと翠君の事情だ…。



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