麗しのワイルド ビースト
気づくのが遅いと言われたら残念なことだけど、親しくねぇヤツらまで俺を『虎』と呼ぶ…。



翠とか京平ならまだしも…。



1、2年は『虎さん』だし…。



先輩って呼ばれないのはなぜだ?



初なんかいつの間にか俺を『虎兄』と呼んでる…。



まぁアイツはそこがイイんだけど…。



のぞみの『虎之助さん』は論外だ。



そして唯一、俺に君付けするヤツ。



「あっ、虎君!!どうかした?」

「お前ってカワイイな…」

「えっ!?な、なに!?急に…」

「なぁ、『虎』って呼んでみ?」

「や、ヤダ…」



んんんんん?



これはまさか…恥ずかしいのか林檎チャン。



なんかめっちゃ新鮮…。



最近なかったこんな雰囲気…。



「言えたらご褒美やるよ?」

「なに!?」

「秘密。林檎が先」



『ゔっ~~~…』っと唸った林檎はギュッと俺の制服の裾を握った。



えっ、なにそれ?



すっげぇツボる。



「と、と…ら……」



俯いてボソッと名前を呼ばれた。



カワイすぎていじりてぇ…。



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