麗しのワイルド ビースト
相当林檎に会いたかったんだろう。



舌打ちした親父は俺のイスに座り、勝手にパソコンをいじり始めた。



今の経営状態、親父にだって見られたくない。



「やめてくださいよ、社長」

「本当に潰す気じゃあるまいな?」

「今からですって。今日の商談がまとまれば莫大な利益になりますし」

「まぁ、お前の腕の見せどころ。それより、お茶くらい出したらどうだ?」



スッと出て来たコーヒー…。



気が効くじゃねぇか翠っ!!



「新顔だな…。若いようだが…いくつだ?」

「オーナーと同じです。石田 翠と言います」

「なるほど…」



友達だってバレてんじゃん。



怒られたりしねぇよな?



いや、翠はかなりよくやってくれてるからそこ突っ込まれても大丈夫だ。



「虎之助、たまには帰って来なさい。林檎チャン連れて」

「帰りたいのは山々なんですがね、どうにも仕事が忙しくて」

「じゃあ林檎チャンだけ帰って来なさいと…」



実の息子より未来の嫁かよ…。



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