PINK OF HERO
「あっちにそれっぽいのあったかもしれません。
じゃあっ」
あたしは適当に基地の方を指すと、ちょうど来たバスに走って乗った。
男は「えっ」と言ったような気がしたけど、あたしは振り返らなかった。
基地は敵に見つからないようにバリアがあるし、とりあえずシルバーっぽいんだからいいでしょ。
バスに乗って家に帰る頃には、黒ずくめの男のことなんてすっかり忘れた。
一人になると、青木くんのことばかり考えてしまう。