PINK OF HERO

あたしが声に振り向くと、煙草をくわえた青木くんがいた。


「走るの?!ありえないーっ」

「これも鍛練のうちさ!だってーまじつえー」

青木くんは渇いた笑いをすると、あたしのコップにビールを注いだ。

「いやーあたしはぜったい無理~」

「俺も無理無理!」

あたしの座るテーブルの前には、無理無理と言う黄田がいる。
黄田はカレーパンを食べながらスパイス臭を放つ。

「つーかデブ!またカレーパンくってんなよ!」
「女の子の憧れがそんな汚い言葉使うなよー」

黄田こそ、ヒーローとは思えない容姿だ。
街で会っても知り合いとは思われたくないような奴だ。

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