PINK OF HERO

黒沢が、わざとあたしの敏感なところを刺激する。

「桃谷、いるの?」



やばい。
青木くん……。





「あっ、青木くん…」

「桃谷?」



見られたくない。

やだ。


早く行って………。



「大丈夫だから…今戻るよ……」
部屋にあたしの言葉と吐息が漏れる。
聞こえないよね?大丈夫だよね?


「今戻れんの?」
黒沢は小声で囁き、おもしろそうにあたしを観察してわざと感じるところを探す。




「桃谷………黒沢は?」


心臓が早くなる。
咄嗟に黒沢に目をやるが、彼は楽しそうにするだけだった。


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