びいだま
マンションのエレベーターに乗ってる間。
廊下を歩く間。
心臓がもたないほど、ドキドキしてる。
さっき聞いた瑞貴の話が頭の中を何度もこだましている。
『ユウの姉ちゃんは雑誌の編集の仕事をしてて、F市にいるんだけど、ユウは高校の関係もあってこっちで一人暮らしをしてるんだ。カメラをするようになったのもユウの姉ちゃんの影響かな』
『今姉ちゃんが仕事で海外行ってるらしくて、あいつの看病をしてやる人がいねぇんだ。で、俺今日行く、つってあるから、多分ドアの鍵は開いてると思う』
って言ってもさ~・・
言われた号数のドアの前に立ち、大きく深呼吸。
そして、
『ノックしなくていいから』
なんていわれたけど、やっぱりそこは・・・ね・・・・・・
コンコン、としたためらいがちのノックの音は、何も反応が返ってこない。
『あいつ、寝てたらノックしても無意味だから』
寝てる・・・・のかな?
「こん、にちは・・・・」
ゆっくりノブを回すと、抵抗もなくドアがギッ、と開いた。
息が・・・止まりそうなんですが~~~!!