びいだま
「垣内くん」
翌日から、頑張って話しかけてみるようにしてみた。
『憧れと恋とは違う』
今の私にはまだまだ謎の多い言葉だけど、実際今私が気になってるのは垣内くんだということは変わりはないんだから。
しかも、今またとないチャンス。
日直の垣内くんが先生に頼まれた仕事。
「私も持つよ」
垣内くんのもってたクラス全員分のアンケート用紙を半分もらうと、彼は少し戸惑っているようだった。
けれど、「サンキュ」といって少し細めた眼鏡の奥の瞳に、容赦なく私の心臓が刺激され始める。
あぁ、垣内くんって隣にいるとすごく背が高いんだなぁ。
並んで歩く、職員室への廊下が、こんなにも短かったっけ。って。