びいだま
はぁ、はぁ・・・・・。
キャンパスを抜けると、肩をゆらしながら、どちらからともなく足をとめた。
「ユウ・・・・」
「バカか、お前。あんなとこで、なにしてんだよ」
「・・・・頼まれて・・・・って、コマキは?まだ中に」
「コマキちゃんなら、瑞貴が連れに行った」
「・・・・・・・・」
ごめん、なさい。
ため息をついて、どこかをみつめるユウの顔からは汗が流れ出してた。
怒ったような、いらついてるような、顔・・・・。
そういえば、こんなユウの顔、前も見たことあるよね。
あの夏祭りの日。
なんか、いつも・・・・・困らせてばかり。
変な質問したり、強引な男の人に絡まれてみたり・・・・。
「ユウ、ごめんね?」
小さくつぶやいた言葉は、ユウに聞こえたのかどうかわからないけど、ただ私の頭に大きな手の平をポンポンとのせてくれたのが、
気にするな、
と言ってくれてるみたいで、こらえてた涙があふれた。