びいだま

「ねぇねぇ。今日どっかまわってきた?」



絶対このテーブルについてる男の子は適任だ。


本人も絶対にノリノリだしね。



「う~~ん、いまのことはまだ」



気がつけばもう一人男の子が増えてて、コマキやマアコとも楽しそうに話をしてる。



「カホチャンてさ・・・・あ、ごめん。ちょっと・・・素になってもいい?」


「え?」


そういいながらも、彼は、私の目の前に置かれたノンアンコールカクテルをすすめた。



一口飲むと甘酸っぱい・・・・ブドウの味がした。



「カホちゃんって、この後予定とか・・・・ある?」



あ・・・・。


「予定は別にないけど・・・・、そうだよね。店番とか裏方とか何でも言って?男の子だけ大変そうだし・・・何か手伝えることあったら手伝うよ」


「いや・・・そういうことじゃなくて・・・・・・」


「え?」


「あのさ・・・・、こんなところで、なんだけど・・・・・ダンパ・・・誰かと出るの?」



あ・・・・・。


”ダンパ”って、初日にあるキャンプファイアーのことだ・・・・。



絶好の告白チャンス・カップルチャンスだって、コマキが言ってたことがあったっけ。



悲しいことに、彼氏がいない私と、公にはできない彼氏をもったコマキとは一度も出たことがない。



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