びいだま
「果歩・・・?」
「へ?な、なに?なに?」
このタイミングで、瑞貴と2人。
テンパってしまうのは・・・仕方がないよね。
思わずあたふたして落ち着きのなくなった私を見て、瑞貴は苦笑いをした。
「果歩、お前今すげーブサイクになってるぞ。ヤバイ」
「え?え?そ、そう・・・?」
ぱんぱんと両手で頬を叩くと、瑞貴はぷっ、と噴出した。
そうしてしばらく、喉の奥でこらえるように笑ってから、その笑いを抑えるように大きく息を吐いた。
窓から通る風が瑞貴の茶色の髪を揺らしていく。
「あ~あ・・・・。やっぱり好きだわ。お前のこと」
天井に目を向けてつぶやいた瑞貴の告白は、次第に暗くなる教室に静かに落ちていく。