びいだま
夢なんかじゃない
教室のドアを開けて、自分の席に向かう途中、思わずギクッ、と体がこわばる。
窓から聞こえる、音楽とオレンジ色の炎の光に照らされて・・・
誰か、いる・・・・。
その人影を、私は間違えるはずがない。
だって、今いちばん、会いたい人だから。
「ユウ・・・・っ」
信じられない。
こんなタイミングで、ユウに会えた。
もう、この時点で泣きそうになるのを、なんとかこらえた。
ユウは、窓の下、壁際にもたれるようにして座っていた。
オレンジ色が彼のやわらかそうな髪の毛を暖かく照らし出している。
「ユウ・・・」
もう一度、声をかけると、ユウはゆっくりと顔を私に向けた。