びいだま
「大橋果歩ちゃん」
名前を呼ばれて振り返ると、垣内くんがいつものようにひらひらと手をふってドアの向こうに消えるのが目の端で見えた。
垣内くん!
垣内くん・・・・。
「果歩ちゃん?」
「・・・・は?・・・わっ」
気がつけばポンポンと肩をたたかれ、そこに立っているのは・・・・
「王子ぃ??」
「王子?」
顔をしかめるのは、確かにサッカー部キャプテン瑞貴王子。
王子、と呼んでしまったことを訂正するよりも驚きのほうが大きくて、ただ口をパクパクさせてる私を見て、王子は面白そうに笑ってた。
「ハハハ。やっぱりおもしれー」