びいだま
F市についた私たちは、まず、ユウのお姉さんのところにむかった。
「ここ?」
ビルの中に入っていくユウの後をあわてて追いかけた。
通り過ぎる人の中で、時々ユウも知ってる人がいるらしく、軽く挨拶を交わしながら歩いていくユウの背中は・・・なんだか少しオトナな感じがして・・・。
私はとりあえず曖昧な会釈を何回かしながら、ユウに遅れないように小走りでその後を着いていく。
「失礼しまーす」
ユウがあけた白色の扉の向こうは・・・・・、
わぁっ、何かのテレビで見たことがある~。
暗い部屋の中には、たくさんの機材があふれていて、忙しそうに歩き回る人たちの中で、ライトに照らされてひときわ輝く空間。
何かの・・・「撮影」だよね。
そういえば、瑞貴が言ってた。
ユウのお姉さんが編集者の仕事をしてる、って。
「雑誌の撮影だよ・・・ちょっと待ってて」
耳元で、小声でささやくと、ユウは大きく手をふって見せた。
それに気がついたのは、白いシャツで髪の毛をひとつに結んだ・・・モデルさんだ!