びいだま
あ……そうか。
いつもサッカー部がグラウンドにいたっけ。
でも、私が見てたのは……
ちらっ、と彼の消えたドアを見ると、なんだか……なんだか不意に涙がこぼれそうになった。
「大橋さん?」
「え……あ、っとごめんなさい」
やばい。
涙見られたかな。
とっさにうつむいた私の目の前に差し出された手は、かすかに震えてた。
王子・・・・?
「ごめん。そんな・・・困らせるつもりはなかったんだんだけど」
ぱっ、と顔を上げると、王子・・・・瑞貴くんは困ったように笑った。