びいだま

ひとしきり笑った後、杏奈さんは表情を少し引き締めた。



「悠司の卒業のこと、聞いてる?」



「あ・・・・ハイ。来年すぐに高校には来ない、って・・・」



「小畑さんがさ、来年の春にはそのharuと一緒にしばらく海外に行くことになってて。悠司がその前にどうしても小畑さんに習いたいことがあるって・・・・そういうわけなの」



そうだったんだ・・・・。



ユウを見ると、さっきとは違った真剣な表情をして小畑さんの話をなにかうんうんと聞いてるのが見えた。



「果歩ちゃん、ごめんね?」


「え?」


「早速、離れることになっちゃって・・・・けど・・・悠司は絶対に果歩ちゃんのこと真剣に考えてるはずだから・・・・」


「・・・・わかってます」


言い切った私を、杏奈さんが、まっすぐに見つめる。



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