びいだま
「なに、ニヤニヤしてんの?」
ビルを出て歩く私に、ユウが覗き込むようにして尋ねると同時に、自然につながれた手にまたもや顔がにやける。
どうしよう。
嬉しすぎて。
ユウが悠司、って呼ばれてるとこを見れたことも。
ユウが真剣にお仕事?の話をしてるところを見れたことも。
そして、何よりユウのお姉さんに会えたことも。
このままじゃ、顔がふにゃんふにゃんになっちゃう。
ユウは、そんな私の鼻先をぴんっ、と軽くはじいてつないだ手をぶんぶんとふって見せた。
「なんかわかんねぇけど、すげー嬉しい」
「私も・・・今嬉しい、って思ってた」
「ははっ、じゃぁ一緒だ」
こんな風にバカみたいに笑って、手をつないで一緒に歩ける日がくるなんてつい最近まで思ってなかったから。
急に、泣きたくなるのを、こらえて私は思いっきり笑って見せた。