びいだま

「あ、あのね・・・・マアコが・・・」


「マアコ?」



「う、ううん。なんでもない」



そっか、まだ言えないんだよね・・・。



「マアコ・・・・来年退院できるかも、って言ってたね」


「あぁ・・・そのことか。うん。このまま調子がよければ、って話だろ?」


「うん。で、これからは勉強して仕事もしたい、って言ってた」


「へぇ・・・・」



やばい、またなぜか泣きそうになるのをこらえて空を見つめた。






(おいてかないで・・・・っ!)






その瞬間、ふとひらめいたその一言が、さっきから胸の奥にくすぶるもやもやとした黒い感情を指し示した。


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