びいだま
「・・・・・・・?」
足をとめたユウがこっちを見るから、
「見ないで・・・・見ないで・・・・」
「果歩・・・・・・?」
思わず両手で顔を覆う。
やだ。
この黒い塊は、嫉妬、焦り・・・・そして不安。
今私はどうやっても押し寄せてくるそれを隠すことなんて出来ない。
ずっと思ってた感情。
それはユウやマアコの事があったからじゃない。
とりあえずリミットがきたから。
とりあえずそこに選択肢があったから。
とりあえず・・・とりあえず・・・・の連続でこれまで生きてきた私には、目指すものももちろん夢だってあるわけがなくて・・・。
「とりあえず」短期大学部に進学が決まってる私には、ユウやマアコが急に遠くに感じてしまったんだ。
それが、急に恥ずかしい。
仕事をしてる杏奈さんや小畑さん。
夢を語るユウやマアコが、遠くに感じるよ。