びいだま
丘の上にあがると、
そこにはやっぱり懐かしい風景が広がっている。
小さな教会に、草原。
「ここはさ・・・・」
草の中に座りこんだユウが話し出す。
「小畑さんに教えてもらった秘密の場所、だったんだ・・・」
そう言ってユウは昔の話を遠い目をしながら話してくれた。
「・・・・俺さ、小さい頃友達がいなくて。親が転勤続きってのもあったし、友達っていても逆に邪魔かな、なんて幼いながら思ってた。てか・・・今考えるとそう考えたほうがきっと楽だったんだろうな・・・・・けどさ、あいつら超強引で」
そう言ってユウは懐かしそうに目を細めた。
「ウザい、って言ってんのに、勝手にマアコがボスで俺と瑞貴がパシリだよ。ずーっと3人で遊んでた。あいつらの家族もさ、俺んちに親がほとんどいないのを知っててさ、うるさいほど面倒見てくれて・・・・
誰々の誕生会だのってはよくごはんとか食べさせてもらったよ。誕生会、っても俺らのじゃなくて、瑞貴のじいちゃんのだったり、マアコん家なんてイヌだぜ?飼ってるイヌの誕生会するんだって、俺や姉ちゃんを呼んでくれたりしてたんだ」