びいだま
「やっぱり、ここだ」
息を弾ませて屋上への扉をあけると、ユウがフェンスにもたれてるのが見えた。
でも、きっとまだ気が付いてない。
そろそろと近づき、わっ、と背中を押すつもりが、
「キャッ!」
いきなり手を掴まれて心臓が止まりそうになる。
「ばーか。バレバレ」
いたずらそうに私の鼻をぴん、とはじくユウとの近い距離に、
私の心臓は今度は急激に鼓動を早くしていく。
あぁ、本当にいつになったら慣れるんだろう。
「ゆ、ユウがいないから、またさぼってるんじゃないか、って見に来たんだよ?」
「はーい。今日はちゃんと出席するって言ってただろ?」
「ウソ。私が来なかったら出ないつもりだったんじゃないの?」
「さぁ?」
「さぁ、って……」
ひょうひょうとした態度のユウに、澄み切った青空の下、このまま校舎の中に戻るのもどうかな、なんて思ってしまう。