びいだま
「なに?果歩から言って?」
そして譲るのは絶対ユウの方。
それは何度言っても変わらないから、私は素直に口を開いた。
「あのね……、私、なんとなくだけど、見つかったの、やりたいこと」
ユウが私を見つめる視線を横顔にくすぐったく感じながら、私は言葉を続けた。
「病院で働きたいな、って。あ、ほら。何回かマアコのお見舞いに行ったり、マアコとメールしたりしててうっすらとは思ってたんだ。マアコみたいにずっと病院にいる人の笑顔のお手伝いができればいいなぁ、って・・・・」
「ん……」
返らないユウの言葉に、そーっと隣りを見上げると…
ピンッ!
「わっ」
鼻を軽くはじかれたその先にあるユウの笑顔に、思わず胸がキューッ、と絞られる。
何も言わないけど、その笑顔が私に力をくれるんだよ。