びいだま
ゴーッ・・・・
電車が出て行くそのホームでベンチに座った私と垣内くん。
「あの・・・ありがとう」
「ん?・・・ううん。大橋こそ・・・大丈夫だった?」
「うん・・・・」
本当は、警備室でいろいろ聞かれたのもすごく緊張したし、多分一人だったらもっと不安だったと思う。
「垣内くんがいてくれたから・・・助かった。ありがとう」
「・・・・・」
「学校、遅れちゃったね・・・・って。垣内くんあんな遅い電車だったっけ?今日、なんかあったの?」
「いや、別に」
学校に行きたくなくて、ほぼ遅刻ラインの電車に乗った私が普通だったら会うはずがないのに。
なんでだろ。
昨日のあの出来事があったせいか、無言の時間がものすごく重く感じる。
垣内くんがなにを考えてるのか、わからないから。
「・・・じゃぁ、私、行くね!」
ホームに入った電車に向おうとした、その瞬間。
ぐっ、と腕をつかまれて、振り返ると、垣内くんがぱんぱんとお尻をはらって反対方向の電車を見つめた。
「サボる?」
なんでだろ。
その一言に、うん、って言ってしまう私は、やっぱり垣内くんが好きなんだ、って思った。