びいだま

「ユウ・・・・・・?」


部屋に戻ると、ユウの姿が見当たらない。



あれ?



ユウ?



「・・・果歩?」



声が聞こえたのは窓の外から。


カラカラと戸を開けると、真っ黒な空の中に星の光が見えないほどの金色の月の光。



「満月、だね」


「ん・・・・。果歩は、帰らなかったんだ」


「うん・・・」


「さっき・・・・本当は俺少しだけショック。ってごめん、むちゃくちゃ勝手だけど」



「え?」



「ごめんっ、今のこと忘れて。本当に恥ずかしい」



「ユウ・・・」



明るい月のせいかな、ユウの顔が真っ赤になるのも、けど少し寂しげな表情も手に取るようにわかる。


けど、私は気がつかないふりをしてまっすぐ空を見つめた。



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