びいだま

はぁはぁ・・・・


キスで荒れた息をいったん目を閉じて落ち着かせ、顔を上げると、


月の光が、この夜空のような漆黒の、ユウの瞳に映りこんで・・・・


ううん・・・・。


ユウ、もしかして・・・。



と思ったときには、もう抱きしめられていた。



ユウ・・・、泣いてる?



「こんなに・・・・・こんな気持ちになるなんて思っても見なかった・・・」



かすれた声が、胸の動悸と一緒になって私の心の中にしみこんでいく。



「こんな苦しいの、知らねぇよ。苦しくて、もう・・・・いやんなる」



「・・・・・ユウ」



「ごめん。今だけ言わせて。勝手なこと・・・・言わせて?」



「・・・・・ん」



そうして、ユウはひとつ息をついてから、少しだけ腕の力を強めた。



「果歩・・・・・すげー・・・好き。愛してる」



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