びいだま
いつの間に眠ってたのか、目を開けると、窓を照らす月の金色の光は、太陽の真っ白な光に変わってた。
顔を動かすと、ユウの姿はなくて、かすかにシャワーの音が聞こえた。
あぁ・・・
奇跡なんて、やっぱり起きなかったんだ。
・・・・日常が、戻ってくる。
「果歩、シャワーあびる?」
渡されたタオルから、ユウのにおいが少しする。
でも、それは昨日の夜とは少し・・・・違う。いつものユウのにおい。
ほんの少しまだ引きずる痛みすら、名残惜しく感じながら、シャワーをあびた。