びいだま

ビー玉


「ここどこ〜〜〜??」


無人駅を降りると、広々とした草原が広がってる。


降りたのは私たちだけ。


「あ、ちょっと待って〜〜」


先をすたすた歩いていく垣内くんを私は走って追いかけた。



広い道路沿いに一軒だけあった小さな商店に垣内くんが入ったと思ったらすぐにラムネのビンを2本持って出てきた。


「あ、それ、なつかしー。子供の頃、よく飲んでたなぁ・・・。ビー玉のやつでしょ?」


小さい頃、ビンの中にあるビー玉をとってくれ、って何度も父親におねだりしたっけ。



商店横のベンチにポスンと座った垣内くんが、あごで隣をさした。


すわれ、ってこと?


私は、彼から少し間を置いて錆びかけたベンチに腰掛けた。



「ん」



にゅっ、と突き出されたラムネのビンは、もう汗をびっしょりかいている。


「ありがと・・・」


わたしが受け取ると、垣内くんは自分のビンの蓋を押し込んで、こぼれかけた泡を唇ですいとった。


「つめて」


「・・・・垣内くん」


「昨日・・・・・・ごめんな」


「え・・・・?」
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