びいだま
すぐに小畑さんとアメリカに旅立つ、というユウはF市のお姉さんのところで手続きに追われていた。
連絡はメールや、毎晩の電話でとってたけど、あれからユウには会っていない。
「来週」というリミットは、もう「3日後」になっていた。
・・・・私は、何かを振り切るように、毎日学校に通った。
進路指導の先生に、決まっていた短大への進学をやめる、って言ったときはかなり呆れ顔をされたけど・・・。
一生懸命自分の言葉で、みつかった夢のことを話したら先生は少し渋い顔をしながらも協力するから、お前もがんばれよ、って言ってくれんだ。
「あれ?果歩?」
先生からいろいろ書類をもらって生徒指導室を出たところで、呼び止められた。
「瑞貴?」
ジャージ姿の瑞貴が職員室から出てきたところだった。
「何?呼び出しくらってんの?だせー」
「ちがうよっ」
「アハハ・・・・」
「瑞貴こそ、どうしたの?練習?」
「あ、あぁ。後輩の練習にたまに付き合ってんだ。体なまるといやだからな」
「そっか・・・」
大げさにぶんぶんと手をまわしてみせた瑞貴に思わずクスクスと笑いが出た。