びいだま
「笑った」
「え?」
「なんかさ、お前すげーきびしー顔してたから。眉間にしわ寄せてさ」
「えぇっ??」
思わず眉を触ってみた私の頭をコンと小突いて瑞貴は歩き出した。
「ばか。冗談だって!けど・・・あんまり思いつめんなよ?」
「・・・・・思いつめてなんか・・・ないよ・・・・」
小さくつぶやいた言葉が瑞貴の耳に届いたのか届いてないのか、彼は渡り廊下のベンチを指差して「なんか飲む?」って振り返った。
「てか、座れ。ほら、早く」
「あ・・・うん・・・・」
私に腰を降ろさせて、瑞貴は脇にある自動販売機の前で小銭を入れ始めた。
そうだ。
「瑞貴、この前、ありがとうね」
「ん~?・・・・って、果歩、コーヒー牛乳でよかったよな?」
「あ、う、うんっ」
「オッケー・・・っと」
ガチャン、と音がして、暖かいコーヒー牛乳を瑞貴が、ん、と差し出した。
「ありがとう・・・」
そして、瑞貴はまた自動販売機に向かう。
「俺、何にしよっかな~」
私は暖かいコーヒー牛乳のパックを両手で包みながら、切り出した。