びいだま
タカラモノ
「仕方ないよ~、瑞貴は別格!だもん」
私の肩をたたいて笑ったのはコマキ。
ユウの見送りに一緒に空港に行こうって約束してたんだ。
「卒業前に、って何人かに告白もされてるらしいから」
「へぇ・・・・」
「けど」
といってコマキはにこっ、と笑った。
「垣っちも本当はかなりいけてるから・・・・果歩心配なんじゃない?」
「え?心配?」
「だってこれからいっぱいオトナの女性なんかにさ~囲まれて・・・ウフフ・・・」
オトナの・・・女性・・・・。
「やっぱり・・・・そうかなぁ・・・・そうだよね・・・」
なんて話してる私たちの頭をポンポンと叩いたのは、瑞貴。
「ばーか。ユウがそんな奴じゃないって、わかってんだろ?コマキも面白がるな」
「えへへ。つい・・・・、って瑞貴、垣っちは一緒じゃなかったの?」
「あぁ、あいつは姉ちゃんと一緒に来るんだよな?果歩」
「・・・・うん。さっきメール入ってた」
そんなたくさんで見送りなんて恥ずかしい、なんて何日か前の電話で照れてたけど、急に予定が決まってばたばたしたこともあって、ユウも皆に会えるのが嬉しそうだった。
てか・・・・私、なんか昨日の夜からむやみに緊張してる。
あのパーティーの一夜以来、顔を見るのが初めてだし・・・
・・・・というより、無意識にそっちの緊張で、これからやってくるかもしれない寂しさを紛らわそうとしてるのかも、しれないな・・・
・・・なんて、今は考えないでおこう。