びいだま

「皆、わざわざごめんな」


「何言ってんだよ〜。がんばれよ、ユウ」


「あぁ・・・瑞貴もな」


「おう」



そうやって、瑞貴と話してるユウは、そんなに長い間会えなかったわけでもないのに、なぜか急にオトナびて見えた。


「それじゃあ…まだ時間は少しあるから……ね、コマキちゃん?」

「そうですね?お姉さん」


なんて。


あれ?いつの間に意気投合?


わけがわからない私の前で、あんなさんはコマキと腕をくみながら、多分見えないように瑞貴の服をちょいちょいとひっぱった。


「なんだよ、あんな」

バシッ!

「いてっ!なにすんだよ」
「あんなさん、だろうが」
「うっせー…」


ふてくされたように横を向いた瑞貴を引っ張るようにしてコマキとあんなさんはにこっ、と笑って続けた。


「時間あるから、後から合流ね。じゃ」



……は、ハハ。


きっと気を遣ってくれたんだろうけど……少し瑞貴が気の毒すぎる……。
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