びいだま

「なにやってんだ、俺!」


そう言うと、ユウはほんの少し空けた二人の間の間隔をぎゅっ、と縮めた。


「中学生か、つーの」


「クスクス…」


「……もう時間がねー、っつーのに……」


「・・・・・」



「果歩、なんか飲む?」



「え?」


いきなり?


「はい」



ユウが取り出したのは・・・・



「あ、・・・・ラムネ」


「さっき近くで売ってたから買ってきた。んで、もひとつ・・・手、出して」



ラムネを光にかかげた私に、くすっ、と笑ってユウが手をグー、の形にして突き出した。



「え?何?なに??」


「いいから。早く」



ユウが笑ってこれこれ、という風に自分の手のひらを目で指した。






わからないまま、ユウの手の下に右手を差し出すと



「はい、あげる」


右手に感じる重み。


「あ~・・・・なつかしい~~」


それは、黄色いあみあみの袋に入った・・・・色とりどりのビー玉だった。






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