びいだま


「果歩、貸して?」



私からラムネのビンを再度受け取ったユウは、ポンッと音をたててその蓋を押し込んだ。



「はい・・・・」


「ん・・・・・ありがと」



ビンの中に小さい泡がいっぱい広がって、それはすぐに上へ上へ揺れながら競うように上がっていく。



「すごい・・・キレイ・・・・・・」



一口それを飲み込むと、シュワシュワとはじけながら喉を通り過ぎる。



あの夏の日、初めてユウと一緒に飲んだあのラムネ。


それが鮮やかに蘇ってくる。



だから。


だからこそ・・・・。


零れ落ちそうになる涙を必死でこらえた。


「果歩?」


「ごめん・・・・あれだけ話をしたのにね・・・・・・・」


「・・・・ずっといなくなるわけじゃないよ。すぐに帰ってくるし・・・」



うん。


そうだ。


ユウに言わないといけないことがあった。


「ユウ、あのね」

「果歩、あのさ」



また重なる言葉に、思わず顔を見合わせて微笑んだ。



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