びいだま
「本当は、まだ決まってなくて・・・・決まるのもギリギリになるだろうし、ユウには帰ってきてから言おうと思ってたんだけど・・・・私、短大部に進学するのやめた、って言ってたでしょ?」
「あ、あぁ」
「やりたいことへの道がようやく見つかりそうなの。それには専門学校、って考えたんだけど・・・・もう少し欲張って大学に行ってみたいな、って」
何度も何度も進路指導の先生と話し合ってきたことだから、思ったよりあっさりと口にすることが出来た。
「私、病院で働きたいんだ、って言ってたよね。本当にいろんな選択肢があるんだけど、わたしは“作業療法士"っていう職業につきたいな、って思ってる」
「作業療法士?」
「うん。お医者さんとかは、もう、ムリだろうし・・・・でね、マアコのお見舞いに行ったときにみかけた作業療法士さんが頭から離れないんだ。私チャレンジしたい、って思ったの」
「うん」
ユウは、両手をあわせて目を伏せながら黙って聞いてくれた。
「それがね、希望する大学が・・・・F市に近い、というか。もっと言うとマアコの病院と提携?してるというか・・・・だからもしそこに受かったら・・・私がユウの近くにいれるんだ、って・・・・思ってたんだけど・・・・」
「果歩・・・?」
顔を上げたユウの目が見れなくて、あわてて両手でぶんぶんと横にふった。
「あ~・・・言っちゃって、恥ずかしいんだけど。受かったら、っていう話だから。だから私今からようやく受験生、なんだよ。決まらなかったら・・・・ごめんね」
「果歩、じゃぁ・・・・」
「ユウ、私もずっと一緒にいたい。近くにいたい・・・・離れたくない」