びいだま
4th. Treasure
言えない言葉
ユウがいない毎日。
耐えられるのかな、って少し心配だったけど、案外と平気だったのは、大学合格に向けて勉強に専念してたからだと、思う。
というより、勉強に専念しないと、こみ上げてくる寂しさに押しつぶされそうになってるのも事実。
「……果歩、起きてた?」
「寝てた」
ユウの少しねむたげな声が一転する。
「えっ?」
「うそ。起きてたよ。勉強してた」
「・・・そっか。お疲れ」
2、3日ごとにかかってくるユウからの電話は、いつも深夜で。
かなり不純だけど、ユウから届く、今日電話するよメールで受験勉強にも力がはいる、っていうのも・・・事実で。
「ユウこそ、疲れてるんじゃない?」
「ははっ。小畑さん超厳しいしな。鬼だよ」
「えー、そんな感じにはみえなかったのにね」
「・・・でも、すげー楽しい」
「・・・・うん」
楽しい、って聞くと、嬉しいはずなのに・・・・胸が少しだけちくっ、と刺さるような気持ちになるのは、やっぱり私の心がせまいだけなのかな、って。
ユウに悟られたくなくて、わざと元気な声を出した。