びいだま

「じゃ、その中身見たよね」


そう言ってその女の子は、私の手からその雑誌を取り上げると、パラパラッ、とユウのページを開いてひらひらとふって見せた。


「あのさ~・・・・・・教えてくんない?この男の子、文化祭の時にここにいたよね?しかも一緒にいたでしょ?名前だけでも教えてくんないかなぁ」



た、頼む態度ではないよね。


下から覗き込むように・・・・


怖いんですけど・・・・。



「教えてあげてよ。この子、その彼に一目ぼれしちゃって、ずっと探してるんだから」


右隣の女の子が、真ん中の女の子を見ながらそう言った。



あぁ・・・・これが、「黒王子」の威力、ってことか・・・・。



本当は、ずっと近くにいたのにね。



「なにが、おかしいのよっ!?」



思わずくすっ、と笑ってしまった私の表情がかなりカンに触ったらしく、真ん中のそのボス的な女の子が、持ってた雑誌をばんっ、と机に乱暴に置いた。



「ごめん・・・・、けど本当に気がつかないのかな、って」


「はぁ?何言ってんの?」


私はちらっ、とユウの机を見てから息を吸った。


「知らない。その人」


「んなわけないだろ、っつってんの!」



ドンッ、と肩を疲れて、後ろの机にぶつかった。



怖い。


怖いけど、なんだか頭の中はすごく冴えてる。


私は言葉を続けた。


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