びいだま
「もし、知ってたとしても教えないよ。うわべだけの人に、教えない」
「はぁっ?」
「本当の彼を見つけられない人には、絶対にわかんないよ」
「わっけ、わかんないんですけどっ!!」
ドスンっ!
もう一度、しかも少し強く突き飛ばされて、思わずしりもちをついた。
なんで、こんな目にあってるのか本当は全然わからないけど、
その恐怖、というより、急に、本当に急にユウがいなくなったんだ、っていう思いが胸にこみ上げてきて、唇をかみしめてこらえるけれど、涙が目ににじんだ。
「泣くくらいなら、教えろ、つーの!かっこわるっ」
「てか、王子と一緒にいすぎなんだよっ」
・・・瑞貴のことだ。
「お前あれだろ?いけてないメガネ君と付き合ってんじゃねーの?二股は良くないよね~。ギャハハ」
・・・・・っ!!
打ったお尻の痛さなんか感じない。
にらんだ私の視線に一旦戸惑ったように視線を揺らせた「ボス」は、ごまかすように天井を見ながら髪の毛をくるくる巻いて見せた。
そうして、もう一度にこっ、と笑って見せた。
目が、笑ってないんだけど・・・
「教えてくれるくらい、いいでしょ?」